赤札堂で1200円で購入したテフロンコーティングのフライパンが駄目になったので、思い切ってちゃんとしたパンを買おうと思い立ち、日曜日にぶらりと合羽橋道具街に行きました。
(あとで知ったのですが、合羽橋のお店は基本的に日曜日はお休みらしいです)
合羽橋といえば、「料理物サンプル」や「業務用食器」などの特殊な店舗が思い浮かびます。これまで合羽橋には行ったことがなかったのですが、テレビや雑誌で刷り込まれたイメージがありました。
実際に行ってみても、そのイメージは変わりませんでした。そして、私のなかで合羽橋に対するもうひとつイメージが加わりました。それは「子供のいる街」というイメージです。
東京メトロ入谷駅から徒歩5分。予期せずお祭りに出くわしました。
七夕のお祭りでした。始まって12年という事ですが、かなり盛況です。合羽橋道具街の通りではなく、合羽橋本通りに飾り付けがあり、人であふれています。
金魚すくいや紙芝居、駄菓子に浴衣姿の女性、操り人形、紙きり、はっぴに売り子の声。そして子供たち。
小学生とおぼしき年齢の子供が、文字通りに走り回っている。そんな光景を何年ぶりかで目にしました。 ビニールの刀を振り回し、友達を見つけてはおおはしゃぎ。
東京都内にも、まだこんなに子供がいるんだな、となんだか気持ちがあったかくなりました。
突然、背後で大きな音がしました。あとになって思うと、それは、台所のオーブンレンジと珈琲メーカーと電気ポットを、日光のサルに倒されたような音でした。
1歳ぐらいの赤ちゃんが、誤って折りたたみ式の会議机をたおしてしまったのです。
机に載せていた食べ物と食器のようなものが散乱しています。
一瞬、周囲が静まりかえりました。 びっくりして固まっている赤ちゃんを、お母さんがあやしています。しかし、通行人は誰も近づこうとしません。走り回っていた子供たちも静かにしています。
都会に暮らしていると、こういうふうに、他者との関わりに一瞬躊躇するような、そんな気質ができるのかなと思いました。
私も同じたぐいの人間です。
ちょっとあそこまでは距離があるし、戻っていって、大丈夫ですかなんて言うほどのことでもないよなと自分に言い聞かせ、納得させて、きびすを返してしまったのでした。
お肉屋さんで買った揚げたてコロッケがほくほくしていて、おいしかった。
来年もまた行くことにします。そのときは、助けてあげられる人間でありたい。