親父
どうか長生きしてください。
お互いあまり口数が多いほうではないから、これまでろくに込み入った話をしたことがありませんね。
中学時代は、一番反抗していました。
壁を蹴破り、顔を合わさず、無視していたこともありました。
お袋が世話焼きだから、何かにつけ、口を挟んできましたね。
そんなお袋と、どうか仲良く長生きしてください。
俺は親父に似ているらしいのです。誰が言ったわけではありません。
最近気がつきました。
もうまるっきり雰囲気がそっくりです。
親父にも、今の俺と同じ年齢だった時代があるのですね。
そのとき、あなたは何を考えていましたか。
どうか、萌えキャラにはまって秋葉に入り浸っていたなんてことはないように。
あなたは仕事の疲れから、倒れたことがありましたね。
病院で、力なく横になっている親父を見て、どうしようもなく自分が無力であると感じました。 赤子の俺をここまで育て、見守ってきてくれた、そんな親父に俺は何ができるのだろうと。
どうか長生きしてください。
ようやっとひとり立ちできるようになりました。
親父の気持ちが、少しずつわかってきたところです。
これからあなたの役にたちたいから、
どうか長生きしてください。